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アメーバ経営を支える人事制度構築・運用のポイント

Seminar Report / Column

「心」をベースにしたアメーバ経営を正しく機能させ、
着実に成果に結び付ける風土を醸成する人事制度の在り方

「会社経営とは一部の経営トップのみで行うのではなく、全社員が関わりを持って行うものだ」との考えに基づき、京セラ創業者 稲盛和夫名誉会長によって考案されたアメーバ経営。
アメーバ経営の最大の特徴は、会社組織を「アメーバ」と呼ばれる小集団に分け、アメーバのリーダーがまるで経営者のように小集団組織の経営を行うことである。アメーバのリーダーには現場の主任や係長クラスの人材が任命され、各アメーバの経営を任される。また、アメーバ経営は経営環境の変化に合わせて柔軟に組織を変更して、最適な体制で経営を行えるという特徴もある。
そうした若手人材をリーダーとして登用し育成していくことや、柔軟な組織変更に対応しビジネスを展開していくアメーバ経営であるが、アメーバ経営の特徴に合わせた人事制度を構築することで、アメーバ経営の強みはさらに発揮される。KCCSマネジメントコンサルティング株式会社(KCMC)では、アメーバ経営の運用を支える人事制度の構築を支援する人事コンサルティングを提供し、既に150社を超える企業が導入している。
KCMCの提供するコンサルティングサービスが、どのような考え方に基づき人事制度を構築しているのか、どのようにしてアメーバ経営の運用を支えているのか、人事コンサルティング部部長・清水宏治氏が語る。


photo 人事コンサルティング部 部長
清水 宏治(Koji Shimizu)
1990 年京セラ入社、2006 年KCCS マネジメントコンサルティングへ転籍。
約25 年間、80 社以上のアメーバ経営コンサルティング、および独自のERP システム「The Amoeba」の導入コンサルティングを担当。導入企業様へ継続的にコンサルティングを展開する中で、真の優良企業創出のためにアメーバ経営を支える人事制度の重要性を痛感。2014 年より人事コンサルティング部 部長に就任。

アメーバ経営によって起きる変化
―アメーバ経営と人事制度の関係―

アメーバ経営は京セラ創業者 稲盛和夫名誉会長により考案され京セラ発展の原動力となりました。現在では、600社を超える様々な業種、業態の企業様に導入され経営改革を果たされています。アメーバ経営を導入されることにより、次の5つの変化が表れると考えています。

① 全員参加の経営
② 採算で貢献度を図り、目標意識を持たせる
③ 良く見える経営の実現
④ トップダウンとボトムアップの調和
⑤ リーダーの育成

アメーバ経営は全員参加で経営を伸ばし、経営理念を実現していこうという取り組みです。小さな組織単位で採算が見えます。部門のメンバーにしてみれば、自分自身の貢献度がよく見えるわけです。それにより、「もっと頑張ろう!」という取り組みが社内のあちらこちらで出てきます。トップからも、どの部門が頑張っているのか、また、どの部門が今一つ調子が出ていないのかといったことが良く見えます。

また、全社共通の「時間当り採算」を指標としていることから、意思疎通もスムーズになり、上位者からの指示事項が的確に伝わります。さらに、現場から「次はこうしていきたい」、「このような取り組みを充実させたい」といった提案も上申しやすい環境となります。

各アメーバには責任者がおり、若くてもアメーバリーダーに登用され、手腕を発揮する人材も出てきます。若いうちから小さな部門を任せ経験を積ませることで、さらに大きな部門を任せることができるリーダーが育つのです。

このように、アメーバ経営を導入しますと組織が活性化され、成果も得られるのですが、人事制度がアメーバ経営の運用を支えるものになっていない場合には、さまざまな問題が発生し、結果的にマンネリ化が始まってしまうケースも考えられます。

人事制度が組織の活性化を妨げるパターン

例えば、組織の硬直化です。多くの企業で「役職手当」が採用されていると思います。役職手当は「課長になった」「部長に昇進した」という時には、大いに本人をモチベートする効果があると考えます。しかし降格となってしまう場合にはディモチベート、つまり意欲を下げてしまうことが考えられ、柔軟な人事異動を妨げる要因になってしまいます。

組織とは、経営環境の変化に合わせて柔軟に変化していくべきです。環境が悪化すれば、組織の統廃合などドラスティックな変革を迅速に行う必要があります。しかし、それが役職を外れる管理者への配慮からなかなかできない、となる可能性があります。 これが結果として組織の硬直化を招いてしまっているケースが見られます。

2つ目は、人事評価の合理性や効率性を重視するあまり、上司が部下を指導しようとする動機づけが十分に働かないケースです。アメーバ経営を導入すると、部門の採算向上やMPの達成に対して協力的な人とそうでもない人がはっきり見えてきます。上司は、協力的でない人に対して何度か指導はするでしょうが、思うようには改善されず、現状に不満を抱きながらも、諦めてしまうということがあるかと思います。

こうした状況は、実は人事制度の運用が生み出している可能性があります。人事評価を合理的、効率的なものにしようとして、考課表に評点を書き込めば自動的に集計され、その人の評価が決まってしまうといった制度になっている場合に起きがちです。本来、人事評価は育成を目的に行われるべきであり、人材育成に必要な部下との会話や、リーダーが議論を行う場を持つことが大切なのです。

このようなケースに対してアメーバ経営の人事制度では、「人事評価調整会議」を設けております。人事評価調整会議は、他部門の部下であっても多くの幹部がその者の評価に参加し、評価の調整を行う場です。

この調整会議では直属の上司が部下の評価結果を報告します。上司に協力的でない部下の評価は当然低くなりますが、ABCDEの5段階評価でD評価が続くと、周囲からその上司に対して、その人をどのように育てていくのかと厳しく追及を受けます。「B、Cの評価結果となるように部下を育てるのが上司の責任であり、それを改善できない、あるいは放置しているのは、上司のリーダーシップに問題があるのではないか」と、非常に厳しく問われるのです。

3つ目は、部門業績に応じて、賞与原資の配分を変えることで、社員のやる気を削ぐケースです。部門別採算によって全社の業績向上に貢献した部門とそうでない部門がはっきりすると、部門毎に賞与原資の配分を変えて支給しようとされるケースが多く見受けられます。これは、一見合理的に感じられますが、実は弊害が多くあります。

赤字の業績であったとしても、そこで働いているメンバー全員がサボっていたかと言えば、決してそうではないわけです。また、業績は悪くとも、それは会社が必要としている事業であり、それを担っているわけです。そのような環境下で、「業績が悪いから、賞与の配分が少ない」ということになれば「やってられるか!」となってしまう、あるいは自分の不運を嘆く、といった心理状態になってしまうのではないでしょうか。

そうした状況に対してもアメーバ経営では、社員の昇給あるいは賞与の配分については、全社一本でその原資を管理し、個人の資格と評価によって差をつけるという配分方法をとっています。ですから、業績は決して良くない部門であったとしても、昨年と比較して大きく改善しているといった成果を残したのであれば、その部門長の貢献を正しく評価し、賞与が支給されるわけです。この点についても、組織変更や責任者の登用を柔軟に行う上で重要な特徴ではないかと考えます。


※部署・役職などは掲載当時のものであり、現在のものとは異なる場合があります

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