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「医療・介護法人向けアメーバ経営コンサルティング」医療法人社団 鈴木内科医院 様

Case Study

医療法人の永続性と社会貢献、職員の幸せが最優先

医療法人社団 鈴木内科医院 氏【画像】
医療法人社団 鈴木内科医院
理事長
鈴木 岳 氏

 札幌市の南東端にある清田区。住宅地が計画的に整備され、札幌市内では唯一鉄道線が走っていない区でもある。
 理事長の鈴木岳氏の父である重設氏がこの地に鈴木内科医院を開業したのは1980 年のことだった。2011年に鈴木氏が継承するまで、地域に密着した医療を展開。在宅医療にも力を入れ、デイケアセンター、グループホームなどを運営してきた。
 一方、鈴木氏は大学で勤務医として働いた後、継承前までの5 年間はスウェーデンのカロリンスカ王立大学病院で内視鏡専門医、指導医として腕を振るっていた。
 そんな中、「高齢の父からの強い要請があり、日本に帰国することを決断した。そしてどうせやるならスウェーデンで学んだ老年学を介護事業に生かしたいと考えた」と鈴木氏。帰国早々に医療介護支援住宅(サ高住)、訪問看護と介護、訪問リハビリを立ち上げた。しかし、いざ継承してみると、職員に元気と自信が無く、方向を見失っているように見えた。30 年間この地で地域医療を支えてきた重設氏を信頼してくれる患者も高齢化しており、介護でも彼らを支えることは重設氏の悲願でもあった。
 「地域包括ケアの時代にあり、医療・介護施設はなくてはならず、永続性が求められる。事業が拡大、多角化していく中で、これまでの家内伝承的な経営を続けることには限界を感じた」と鈴木氏。そのため、プロの手を借りようと経営コンサルタントの話を聞いたり、企業経営に関する様々な書物を読みあさったという。
 「その中で、自分の考えにも通じ、最も共感できたのが京セラの名誉会長である稲盛和夫氏の著書だった。企業はゴーイング・コンサーン(永続)が最も優先されるべきであり、社会貢献、職員の幸せを考えることが大切という内容だった」と鈴木氏は振り返る。
 スウェーデンでの経験も大きかった。鈴木氏は同国を「人を大切にする社会」と評する。そこでの勤務経験から「人を幸せにする仕事に携わる職員もまた幸せでなければならないと考えた」と鈴木氏。

医療・介護法人向けアメーバ経営で、職員の意識が変わり、行動も変わった

 そうしたことから、鈴木氏は2014年11月にKCCSマネジメントコンサルティングの医療・介護法人向けアメーバ経営を導入した。
 アメーバ経営では、職員一人ひとりが利益を意識し、「利益に対する責任」を意識して働くようになる。鈴木氏は、これを職員が幸せになるために、そして患者やそのご家族など、地域の多くの人を幸せにするために取り入れたのだ。


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 鈴木氏がまず行ったのは、職員に自身の経営理念を理解してもらうことだった。
 「地域に根ざした医療と介護を営むことで、患者、家族、職員の幸せ作りをお手伝いしたい。そのために職員はどうあるべきか、意識改革も必要であることを、ことあるごとに繰り返して話した」と鈴木氏は当時を振り返る。



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 そうやって理念の浸透を進めながら、同時に組織を9つのアメーバ(チーム)に分け、それぞれを独立採算とした。収入から支出(経費)を引いた収益をチーム全員の労働時間で割り、1時間当りの採算(付加価値)を計算する。職員の仕事の成果を数字によって見える化し、一人ひとりに経営者意識を持たせていった。その上で毎月会議を開催し、前月の活動成果の振り返りと、今月の計画を検討する場を設けた。

医療法人社団 鈴木内科医院 事務長 鈴木 満 氏【画像】
医療法人社団 鈴木内科医院
事務長
鈴木 満 氏

 こうした一連の取り組みによって、職員の意識は着実に変わっていった。「理事長は自分たちのことを考えてくれていた」とも受けとめるようになったという。
 事務長も職員の変化を実感している。「それまでは自分たちの職場の経営について考える職員はいなかったが、導入後は何を見ながら仕事をすべきかを考えるようになり、会議の際に、自発的に経費削減案を提案する職員が増えてきた」と話す。
 さらに、人材確保も行いやすくなった。チームリーダーが理念を理解し、マネジメントするようになることで職場に活気が生まれ、自然と理念に共感する人材が集まるようになったという。

他部署の経営運営にも関心が高まる

 チームワークも良くなった。
 「導入当初、これまで共通部門任せで扱うことがなかった簿記などが必要になり、職員の中に戸惑いがあったのは事実だ。しかし、アメーバ経営により自分たちの仕事のパフォーマンスが数字というわかりやすい形で示されるようになり、次第に皆が本気になって、一体感が出てきた」と鈴木氏。

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 「一雇用者から経営に携わる者へと目線が変化し、様々な取り組みに積極的になっていった。会議では他部署の取り組みについても関心が高まり、お互いの弱点を補うような提案も出るようになった」と事務長も語る。
 例えば、サービス付き高齢者住宅に空きが出たときや、グループホームで実施している認知症デイケアなどで、それらを必要とする利用者の情報が各チームから連絡されるようになったという。
 結果として、鈴木氏が法人を継承した2012 年には赤字、2013 年度には2~3%だった経常利益率は、2014 年度には約9%に跳ね上がった。
 「2014 年は、診療報酬、介護報酬ともに概ね減額となっており、コンサルティングの支援なしにはこの結果は得られなかっただろう」と鈴木氏は分析する。

 同法人では理念の一つである職員の幸せ実現のため、2013、2014 年度末には職員全員に特別賞与を増額支給し、利益を還元。スウェーデンに習いワークライフバランスを推進するため、長期休暇体制も整えた。年に1回、連続して1週間の休みを取得させ、その際には補助金を出す。休暇中の経験が人生と仕事にも好影響を及ぼすとの考えからだ。
 鈴木氏は、「仕事を介して職員の幸せを育み、法人の営みを通じて地域の他の医院や病院、中小企業、商店、地場産業、自治組織などと協力、連携するとともに利益を還元し、地域の幸せ作りに貢献していきたい。そのためにも、清田区での法人の枠組みを少しずつ大きくしながら、地域のセーフティーネットづくりを進めていきたい」と目標を語る。

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2015年12月14日